就活時代、念願叶って大手鉄道関連企業に新卒で入社して8年。年功序列で厳しい上下関係の残る社風や旧態依然とした仕事の進め方に嫌気がさし、まったく異なる雰囲気の若い企業へ転職することにしました。
異業種で、しかも半官半民の古い企業からITベンチャーへの転身は、自分にとって希望よりもストレスの多い環境となってしまいました。

1にもスピード、2にもスピード
ベンチャー企業だから当然といえばそうなのですが、前職と比べると仕事に対して求められるスピードはケタ違いでした。朝に指示を受けた業務は、その日のうちに成果を求められることがほとんどで、技術営業としての基礎を学ぶことも相当に早い立ち上がりを要求されました。
成長機会を求めての転職でしたから、それ自体は望むところだったのですが、それにしても石橋を叩いても渡らない前職のいかにものんびりした社風とは雲泥の差で、そのギャップに苦しむ日々でした。
100%の精度の成果を3日かけて出すよりも、70%でいいからその日のうちに、という価値観にも、慣れてアジャストするのにはしばらく時間がかかりました。
仕組みからはみ出す仕事は行わない
業務のすべてをマニュアル化、フロー化しているため、常に最大効率を求められることにも、最初はなかなか慣れませんでした。
前職では、とにかく上司の指示が唯一絶対であって、そこに是も非もありませんでした。白いものでも、上が黒と言えば黒である。そんなしきたりに嫌気がさしていた自分としては、効率のみが正義だとでもいわんばかりの徹底ぶりは心地良く、フェアな環境で素晴らしいと思って入社したのですが、それにしても例外事象をよしとせず、とにもかくにもマニュアル化・仕組み化してその中に業務を入れ込むというやり方に、多少の違和感を感じながらジョインしたのが実態です。今では、その考え方にももう慣れましたが最初は苦労しました。
俗人的な仕事は評価されない
そんな考え方ですから、トップ営業マンが独自の手法で、クライアントとのネゴシエーションで作り出す売上も良しとはされませんでした。
極論、クライアントを接待し、飲みに行って親密になって契約を頂く、などという前時代的な、どこか牧歌的な営業手法は一切厳禁とされていました。
『**さんが営業担当だから契約になった』という『武勇伝』など一切不要で、あくまで論理的に、クライアントにとって物理的なメリットが何かという点をきちんとプレゼンし、ご納得頂いて契約書を頂くということが求められました。クライアント企業の担当者と懇意になることが基本、とされていた前職とは、これまた大きな価値観の相違でした。
報告・連絡・相談もデジタルライク
上司や部下とのコミュニケーションも、抽象的な表現は極力排除して事実ベースの数字で議論することを求められました。
その数字の論拠もあやふやであることも多々あったため、本心としては“そんな薄っぺらい数字データを信用するよりも、現場にいる私たち営業サイドの人間の肌感覚を信頼してもらいたい”という気持ちもありましたが、なにしろその手法で業績を伸ばし続けてきた有望ベンチャーにとって、突拍子もない「アナログ化」の提案など、到底受け入れてもらえるものではありませんでした。
「調子が悪い」のは、「何の、どの数字が凹んでいる」からなのか、打ち手は何で、どの部分をどの位触れば解消するのかを、すべて具体的な数字データで会話するように教育を受けました。
なんとなく、という感覚で議論しても前に進めない、というこの考え方は、今では自分でもすっかり腹落ちしています。
なかなか、ここまで一気に社風の異なるジャンルの企業へ転身される方も少ないかもしれません。ですが、せっかく新しい環境の中に自分の身を投じたのであれば、とことんまで拘って勉強してみる覚悟を持ってチャレンジすべきだと思います。
その他の関連記事はこちら
facebookページはこちら