ここ数年、今後成長産業として注目を集めているのが人材業界。中でも、人材派遣の事業については、少子高齢化を迎えるこの日本国内においても、急成長を維持する数少ない業種と予測されています。全体の雇用者数から考えると、僅か2.5%ほどしか存在しない派遣社員の人数は、まだまだ伸びしろがあるということです。
人材派遣業界には、なぜここまでの追い風が吹いているのでしょうか。また、そこにはどのような仕事があるのでしょうか。

逆風となる?国の意向
国としては、今後安定して働く正社員を増加させ、派遣やパート、アルバイトの非正規雇用者を減少させたいという意図があるようです。しかし、これにはいくつか問題点があり、なかなか改善が進まない現状があります。
まず第一に、VUCA時代と呼ばれる昨今、企業にとって無期契約となる正社員の増加は、人件費を恒常的に圧迫することになりかねません。最近では新型コロナウイルスの影響で商売が停滞、ストップしてしまった企業も多々ありますが、正社員であれば雇用を守り続ける必要があり、毎月人件費は垂れ流し状態となってしまいます。雇用調整を行いやすい派遣の形態であれば、時流に合わせた人員配置が可能になるのです。
また、働き手にも多様な価値観が生まれています。
一定の職場に縛られたくない、人間関係の煩わしさから解放されたいと考える方もいますし、時間や場所を自由にコントロールできる派遣形態のほうが働きやすいと考える主婦層や大学生は、派遣での有期間契約がちょうど心地良いのです。
【同一労働同一賃金】マーケットを変えるか
改正労働者派遣法により「同一労働・同一賃金」という考え方が導入されました。細かく言えば「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」のどちらを派遣会社が採択するかによって賃金決定の方法は変わってくるのですが、大枠としては「正社員と同等の仕事をする人には、同等の待遇にしてください」というのが法改正の主旨となります。
給与水準を上げるということは、派遣先にも派遣元にも利益構造を圧迫する可能性がありますが、これらはどこまで法律がしっかり機能するのか、世間が遵守するのか、によってマーケットの動向は変わってくるでしょう。抜け道だらけのザル法律となってしまうようでは、大きな変革は望めないことになります。
これまでと同じ考え方のまま、派遣企業各社が成長を続けられるのかどうかについてのキーファクターとなることは間違いないでしょう。
派遣会社で必要な仕事とは
人材派遣というビジネスモデルにおいて必要とされる主な職種には、以下のものが挙げられます。
1.営業
文字通り、クライアントを開拓するための営業の仕事。派遣社員の配置を検討している企業への提案はもとより、人材計画から作成したり、コンサルティング的な要素も強い。既存クライアントに対しては、派遣スタッフがきちんと機能しているのかどうかのフォロー活動も重要となる。
2.アドバイザー
登録したスタッフへの教育、あるいは派遣後のメンタル面も含めたケア、フォローを行う担当。日々面談を行うため、人に対する興味が色濃くなければつらい仕事となるかもしれません。
3.コーディネーター
登録スタッフの希望にフィットする求人を探し、提案しながらマッチングを図る仕事。反対に、企業の求める人材要件に合うスタッフを探すというアプローチも当然あります。営業、アドバイザー双方からの意見を聞き調整していく能力が必要となります。アドバイザーが兼務している企業も多々あります。
派遣業界、今後の展望
上記の通り、国としては正社員を増やしていきたいという意向があるため、全体的に見ると派遣業界にとっては逆風となっていくのかもしれません。しかし、それ以前に派遣社員としての求人ニーズの増加を考えると、まだまだ人材派遣マーケットは伸びていく余地があるのではないでしょうか。ただし、当面は経済全体の地盤沈下に引っ張られ、厳しい局面を迎えることになるのはその他多くの業界と同様です。
この難局を切り抜けた暁には、再び脚光を浴びることになる業界ではないでしょうか。人に興味があるタイプの方にとっては、おもしろい仕事になるかもしれません。
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