高校を卒業して、サッカー部時代の先輩に声をかけられ働くようになった地元の料亭で、ちょっとした事件がありました。
その先輩はとても親切で、色々と基礎から仕事に必要なことを教えてくれたのですが、もう一人の職人の方が若手にとても厳しく、「新人は下積みをやってナンボ」という価値観をひたすらに押しつけてくる、パワハラ上司だったのです。私は、働くようになって半年ほどで鬱病のような症状になってしまいました。

理不尽な事でも耐えなくてはならない
一緒に働かせてもらって気づいたのですが、その上司はとても気分屋で、その日自分で言った事の内容を翌日まで覚えていない、ということが何度もありました。
「明日、朝から市場に行って仕入れ頼むな」と指示を受け、指示通りに市場で買い付けてからお昼前に店に行くと、ランチの準備で忙しかったのか「どこに行ってた!」と急に怒鳴りだし、市場での買いつけの指示があったことを伝えても「そんなの、明日でもよかったじゃないか!」と、取りつくシマもありませんでした。
お客さんが入っていても、一度機嫌を損なうとカウンターから「おい!早く準備を終わらせろよ!」と大声で怒鳴りだしてお客さんも驚いてしまったり、とにかく滅茶苦茶な職場環境だったのです。
大将は見て見ぬフリ
あまりにも酷い状況が続いたので、いつもは別の店舗にいる社長(大将)に連絡し、告げ口のようになるので躊躇いはあったのですが、こういう事情で嫌がらせを受けている、大将から注意してもらえないか、と勇気を持って進言しました。
ところが、大将からするとパッと入ってきたばかりの私よりも、長年勤務してくれたその上司のほうが信頼できたのでしょうね。“ひよっこのクセに、文句ばかり言ってないで言われた通り仕事をしてみろ。きっと慣れていくから”などと言って、その上司の横暴さは見て見ぬフリ、擁護を始めたのです。これにはさすがに唖然としてしまいました。こんなところで働いていて、果たしてハッピーになれるのか、と・・・。
退職を告げた途端、掌を返す
1年ほどはその中でも我慢して、仲良くしてくださった常連のお客さん(地元なので、父の友人などもいました)のために、自分にできることはブツブツ言わずに頑張ってみようと決めて、仕事を続けました。
しかし、ある日あまりにも理不尽な内容で叱責され、私の堪忍袋もとうとうプチンと切れてしまいました。仲良くしてくださった先輩も別店舗にいたので、もう退職したいと告げると驚いて引き留めてくださりました。でも、もう私の退職への意思は固まっていたので、大将にもきちんとお伝えしました。
すると、これまでずっと上司の擁護ばかりで私の話には耳を貸そうともしなかった大将が、「それなら**君(上司)と離れるように、店舗の配置を交代しようか」などと、突然歩み寄るような提案をしてくれたのです。
嬉しい気持ちもありましたが、なぜこれまでずっと真剣にこの新人の悩みに耳を貸そうとしなかったのか、やはり不信感のほうが大きく、退職する気持ちに変わりがない、ということを正直にお伝えしました。自分なりに、拾って頂いた感謝の気持ちを、誠意を持ってお伝えしたつもりです。
いざという時に、本性が露になる
引き留めがムダだと悟った大将は、これまでの表情とはうって変わって「それなら、今月いっぱいで辞めてもらうから。来月予定していたボーナスも渡せない。次の採用をしなくてはならず、それはお前のせいで必要になったのだから、そのボーナス分は求人費用に回すから」などと、突然自分勝手な話をしてきました。
呆れて何も言えなくなり、労働基準局にでも駆け込んでやろうかとも思いましたが、それでも一度働かせてもらった恩義があるのは事実。ここで大将とケンカしても自分にも苦い記憶になるだけで建設的ではないなと思ったため、そこで会話を終えて、言われたとおりその月いっぱいで退職しました。
今は、縁あって別の飲食店で楽しく働かせてもらっていますが、人間関係にも恵まれ、なぜもっと早く辞めようと決断できなかったのかと思う日々です。
いざという時にこそ、人間とは本性が露になるのだということを、身を持って体感できたのは良い経験になりました。
今の仕事は、しっかり頑張って続けていきたいと思っています。
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