新型コロナウイルス禍を乗り越えてからも、日本経済は順風満帆とはいきません。日経平均株価は上昇しバブル景気以来の活況となってはいるものの、物価高によって人々の暮らしが劇的に改善できたという実感はありません。構造的に人口減少が続くこの日本では、ますます不況に陥ってしまう可能性も囁かれています。そもそも不況時には、転職市場はどのように変化するのでしょうか?

求人総数は激減してしまう
不況に陥ると、経済的に立ち行かなくなってしまった企業や個人商店の倒産、廃業というトラブルが一気に増加します。
倒産まではいかずとも、設備投資をして事業展開を拡大しようとするケースは稀であって、できる限りコスト削減を実施して身を屈め、経済状況が平常に戻るまでを耐え忍ぼうという企業が大半となります。
企業にとって最も大きなコストは言わずもがな人的コスト、人件費です。
人件費というのは他のコストとは一線を画しています。「今月、仕事が減ったからあなたは給料なしです」とはできないわけです。モノであれば仕入れを減らすなどしてコスト調整できますが、人件費だけは売れようが売れなかろうが、毎月「垂れ流し」になってしまうのです。よほどの覚悟がない限り、この経済状況下で新規求人を出そうという意欲は湧かないでしょう。
求職者は激増する
一方で、そのように倒産、リストラの憂き目に遭ってしまい職を失った方が大量に転職市場に流れ出てくることになりますから、求職者の総数は日々増加に転じていきます。これまで機嫌良く、何の不平不満もなく働いていた方々でさえ、明日の給料にありつけなくなり転職を余儀なくされる、という事態になってしまうわけです。
また、派遣社員や契約社員、アルバイトなどの非正規雇用労働者の方々にとってはもっと悲惨な状況になります。よほど体力ある企業以外では、次のタイミングでの契約更新はなされず、また契約期間中であっても契約打ち切り、となるケースが増加しています。そのような方々が、同時期に一気に転職活動を再開することになるため、転職希望者はここでも激増してしまいます。
一旦、現職で雇用を守られた方はわざわざこの不安定な時代に転職しようとは動かないかもしれませんが、そもそも仕事を失ってしまう方のほうが増えるため、トータルとしては求職者はこれまでの平常時よりも増える形になってしまうのです。
圧倒的な買い手市場に
このように求人数が減り、求職者が一気に増えてしまう結果として、求人倍率は恐ろしいほどに低下します。
1求人に対して何人もの求職者が群がるという構図になってしまいます。
このゴールデンウイーク中にも、例えばタウンワークなどの求人誌は「合併号」となり、通常の2倍ほどの分厚さになっているのが通例なのですが、今年の連休中のタウンワークなどは「合併号」とは思えないほどの薄さになってしまっており、求人数がかなり減少した様子が見て取れました。
仕事を探す際には、今後ますます少なくなった求人を必死で探し、応募してからは大量の候補者とのレースに勝って内定を獲得する必要がある、という事態になってしまいます。
浮き上がる優良企業
こんなことばかりお伝えすると、転職活動に臨む方々には何の光明も感じられないかもしれませんが、悪いことばかりではありません。こんな景況感でも、だからこそ、採用を強化しようとする元気な企業は存在します。
巣篭もり需要に対応するような商品、サービスを展開していたり、対人での接触を伴わないサービスは感染リスクもなく伸びていますから、そのような企業では人手不足の状況が生じます。そのような企業側からすれば、普段は他の大手企業にかっさらわれてばかりでとても採用できないような魅力的な方々さえも転職市場に残っていたり、新たに出てきたりするわけですから、採用するには絶好のチャンスなのです。
周りがどんどん採用をストップしていく中で『逆張り』で採用強化に乗り出す企業は、今後の見通しもありかなり体力のある優良企業である可能性が高いのです。いつもならたくさんの求人に埋もれてみつけられなかったそのような求人も、今ならじっくり探すことができる確率は高まっています。いい仕事を探すチャンスだと前向きに捉えて取り組むべきではないでしょうか。
コロナ不況で苦しいのは誰もが同じ。強く賢く、「次」の選択をできるように準備していきたいですね。
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