アメリカの大学に進学していた私は、卒業後10年ほどアメリカに住み続け、シリコンバレーのIT企業で働いてきました。
厳しくもやりがいのある仕事で、日々新しいチャレンジに刺激を受けて仕事に取り組んでいたのですが、実家の母が病気で長期入院することになり、よくよく今後の人生を考えた結果、日本に戻り転職することにしました。はじめて日本企業へ就職することになり、どんなギャップがあるのかと心配してはいたのですが、それは想像以上のものでした。

就職ではなく就「社」
最も驚いたことは、高校まで日本に住んでいたので知ってはいましたが日本の採用マーケットでは新卒一括採用があるということ。
大学を卒業した新社会人は、どの仕事に就くか、ではなくどの会社に入社するか、という軸で今後の人生を決めていたことです。
それはアメリカでは考えられない方法でしたが、入社してから自分が営業とか経理とか、どの仕事になるかが決まるというのはすごいギャンブルのように感じました。
みんな、それで納得しているのかな?と・・・なぜこのような働き方のことを「就社」と呼ばないのかも不思議に思います。自分の小中高時代の友達の大半は、このような形で「就社」していて、仕事内容も様々だったので、聞いてみると面白かったですが、不思議な気分でした。
年功序列、仕事していないのに?
もう一つ驚いたのは、たまたま自分が再就職した会社がそこそこの大手企業だったのでそうだっただけなのかもしれませんが、年功序列のシステムになっていたことです。仕事をしていてもしていなくても、1年経つ毎に役職が上がり給料がアップする。これもシリコンバレーでは絶対にあり得ない方法でした。
これって、仕事をしているフリだけしていても給料をもらえるシステムだということですよね?なぜそれで会社が回っているのかも不思議に思いました。
新卒で働いた会社にずっと残って、年次が重なると給料も増えて、それで定年までいるという終身雇用制度はもう崩壊する、と話題になっていましたが、それは当然だろうと思ってしまいます。
残業している人が真面目で、さっさと定時退社する人がサボっている、みたいなイメージがあることもアメリカと真逆なので驚きましたね。
本音とタテマエが違いすぎる
「検討します」とは「あなたの提案は却下します」という意味だということを理解するのに、日本に戻ってから1ヶ月ほどかかってしまいました。
アメリカでは、Yes/Noの意思表示をハッキリと内外に示すことは絶対に必要なことで、仕事をする上ではとても大事なことでしたから、このギャップには一番苦しんだかもしれません。
上司に呼び出され、「君のモノの言い方はきつすぎる。周囲とうまく協働してほしい」とアドバイスを受けたのですが、自分としては当然のことをしていただけ、のつもりでしたから、何で注意されているのか理解に苦しみました。なぜ仕事を効率良くしていない人に指摘することがダメなのか、ここは仕事をする人が集まっている場ではないのか、と、憤慨したものです。
日本人独特のやんわりとした表現、謙遜して相手を持ち上げる会話、このあたりの文化は生粋の日本人ながら忘れてしまっていたようで、慣れるまでには時間がかかりました。
転職はネガティブ?
転職に対してネガティブな印象があることもショックでした。シリコンバレーでは、転職するのは日常茶飯事でした。
クビ、という概念も日本ではほとんど見かけませんが、向こうでは自分のキャパシティでは遂行できない仕事だということがわかると即座にクビになるなんてことは普通でした。ただし、それは仕方ないことであって、自分に見合う仕事を探して転職すればいい、という文化がありました。
退職することになっても、同僚たちからは「新天地でもハッピーに頑張れよ!」と激励してもらったり、ジメジメした雰囲気もなかったですし、よく日本人にイメージされるような冷徹な人間関係など皆無でしたので、向こうの文化に慣れていた自分にとっては、キャリアアップを求めて転職する人を引き留めたり非難したりすることは理解ができませんでした。
国や文化が違えば、ここまで仕事のスタンス、取り組み方が異なるのだということは、本当に新鮮な発見でした。
日本企業には日本のいい文化もたくさんあります。
今は、それに慣れていこうとして毎日努力しています。
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