私が以前勤めていた会社でのお話です。
営業部に、ちょっと変わった部隊が設置されました。それは、年配の方々(50代後半〜60代)のみで構成された、テレアポ部隊。普段の自分の仕事と直接的な関わりがあるわけではなく、遠目にそんな一団がいるなあと眺めているだけでした。ある時に、たまたまその内のお一人と廊下で会話することができました。当然ながら、それまで挨拶程度でしか関わることのなかった方でした。

シルバー雇用の先駆けに
当時、まだまだ世の中で「シルバー雇用」というフレーズは聞こえてはいなかった時代でしたが、うちの会社では早々にその取り組みを開始していたのです。雇用されたのは、業務委託としてシニア層の男女10名程度。
仕事内容は、新規の見込み顧客に対して電話でアポイントを獲得する、というものでした。
勤務時間は朝の10時から午後15時くらいまで。
週3回と、穏やかな勤務形態だったように記憶しています。
皆さんにとっては、後から聞いた話ですが、フィーのことよりも社会に貢献したい、繋がっていたいという希望が先に立っていたようです。
すぐさま、圧倒的な戦力に
いざ稼働してみると、その実力に皆が驚きました。
次々とアポイントを獲得して、営業部にトスアップしてくださるのです。
その件数は、日を追う毎に増えていき、とうとう営業部のトップが「その電話トークのノウハウを知りたい」と、現役の営業マンに見学させるように彼らに依頼するという、異例の事態となりました。
答えは、簡単でした。
主に中小やベンチャー、スタートアップの零細企業の経営者をめがけて電話がけを行うのですが、彼らは実は元々どこかの企業で経営に関わってきた方々、元社長という経歴の持ち主だったのです。
当然、人生の先輩として、電話の向こうにいる社長たちの悩み事、困っている心情については手に取るようにわかったのでしょう。皆さんも同じ道を過去に通ってきたわけですから。
親身になって相談に乗る姿は、これは若手の営業マンに真似をしろといってもそうそうできることではなかったのです。
期間終了により”ドリームチーム”は解散
あくまでフィジビリティとしてスタートした企画であったため、3ヶ月後にはこの元経営者だらけの”ドリームチーム”は解散してしまいました。
歴戦の営業マン達の誰もが門前払いを食らってしまっていた難攻不落のクライアントにもすっと距離を縮めてアポイントを獲得し、数多くの成果を残して去っていった姿は、勇ましく格好良いものでした。
実際に、60代のおじいちゃん、おばあちゃんといっても、今時のシニア層はとにかく元気です。日本の経済成長を直に感じてきた世代の方々は、努力することの意味も価値も存分に体験してこられましたので、社会貢献のモチベーションもすこぶる高いのです。
そんな彼らを、うまく活用できるようなスキームを、このように各社が工夫して作っていけたら、高齢化の進む日本社会も、まだまだ成長曲線は描けるのではないでしょうか。
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