前職では老舗の広告代理店に勤務、なかなか年収も高く仕事のやり甲斐も感じてはいたのですが、あまりの激務に身体を壊してしまい、やむなく転職することに。
新しく選んだのは、女性用の下着メーカー。入社するまで、思いも寄らなかった働き方をすることになりました。そこで働く自分の姿を想像さえできない中でのチャレンジが始まりました。

”働き方”が違いすぎる・・・
転職して一番驚いたのは、オフィスでの社員の皆さんの”働き方”でした。
男女比がおおよそ半々だった前の会社から、突然女性だらけの職場に移ることになったため、男性の私はマイノリティである程度苦労するだろうなあ、ということは覚悟していましたが・・・。
前職では毎晩夜遅くまで残業するのが当たり前の文化だったため、比較的朝はゆったりしていました。
ところが新しい職場では、朝から毎日ミーティング!
まあ、朝礼を行う企業は世の中にたくさんあるので、そう珍しい話ではないのですが、ここでは皆さんで毎日コーヒーを飲みながら、音楽をかけたままミーティングするルールになっていました。
各自の感性を引き出すため、という目的だそうですが、女性数名が集まってコーヒーをのんびり飲んで、『昨日気になった出来事』なんていうテーマで一人ずつ発表するのです・・・。
ほとんど仕事に関係なさそうに思える話題が延々と続くのですから、これは驚きました。
ところが、時々そのミーティングを覗きにくる社長も、にこにこしながら見守っているのです。
どうもその時間が”仕事”だと思えない私は、慣れるまでソワソワしていました。
目的は一つ。チームワークを発揮!
ところが、半年もするとそのミーティングの意味が少しずつ理解できてくるようになりました。
下着という商材は、世の中でなかなかオープンに議論されるジャンルのものではなかったのです。
仲のいい友達同士であっても、「どんな下着をつけているの?」なんて会話、なかなかならないそうです(私は女性ではないのでわからないのですが・・・笑)。
そんな中、世の中に受け入れられる下着を作り出していくためには、下着のことばかり考えていてはダメで(なぜなら、下着に関する新しいトレンド情報なんてほとんど入ってこないから)、そうではなくて幅広いジャンルの情報に触れて、今現代社会では女性がどんなものが好きで、どんな話題をしていて、どんな時に心地良さを感じているのか、といったことにアンテナを立て、情報収集していくことが求められたのです。
とりわけ女性の気持ちになって考えてみる、という難題に向き合う必要のある異性の私にとっては、次第に朝のミーティングが貴重な情報源になっていったのです。
だんだん、居心地のよい”我が家”に
面白いもので、毎日女性の意見や考え方に触れていると、だんだん私の中でも女性らしい”感性”が芽生えてきたようです(笑)。
電車内で大股開きでどかっと座るオジサンのことなど、これまではまったく気になっていませんでしたし、もしかすると私自身知らずそんな態度を取っていたかもしれませんが、とても迷惑だなと感じるようになったり・・・これは、女性の視点でものを見る習慣が身についたからだと思いますが、意図せずそんなことに気づけるようになりました。
ずっと続けていけば、少しくらい女性にモテるようになるかもしれませんね(笑)。
企業文化は、企業の財産である。
転職して1年。
すっかり”女性の園”にも慣れてしまいました。
スイーツにもやたら詳しくなりましたし(笑)。
女性用の商品を扱うこの企業にとっては、”女性らしさ”や”女性が住みやすい社会を創る”という価値観が、端から端まで浸透しています。
まったくそんなことを考えたことすらなかった私でさえ、その価値観にどっぷり浸かり、いかにこの日本で女性が冷遇されてきたのか、という歴史的背景を考えると腹立たしくさえ感じています。
これほど人格に影響を与える「企業文化」というのは、それぞれの企業にとって大きな財産であるはずです。
また、転職するからにはそれぞれの「企業文化」が自分にとって大切なものなのか、共感できるものなのか、そのあたりをしっかり見極める必要があるのではないでしょうか。
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